烏骨鶏物語にようこそ

4番目の噺

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4番目の噺

 運動場顛末

 烏骨鶏の運動場はなかなか良い出来に思えた。当初の予定では、運動場内の地面に生えた草を烏骨鶏が食べてくれたら、囲いを少しずつ移動させようと思っていた。

 が、しかし予期せぬことが。

   愛犬凛太郎が烏骨鶏の糞を食べておる!
 
 烏骨鶏の糞は地面に放置する予定だった。烏骨鶏は足で土を掘るというか混ぜるというか、そういう行動をするので、糞も適当に混ざるだろう、烏骨鶏も土の上にいる方が嬉しいだろうと思っていた。

 凛太郎が糞を食べるのを発見してしまったからには、この方針はどうもまずい。地面の上で糞を掃き集めるという作業は想像するに困難。

 犬は臭いをたどって掘ってでも食べる。そういえば、前に庭木の肥料に鶏糞や油粕を入れた時も掘り返して食べていた。あれから庭木に肥料を入れるのをやめたことをこれを書いていてやっと思い出した。

 エアキャップを被せた屋根なので、烏骨鶏が雨で濡れる心配はぬぐいきれず、雨が降れば地面も濡れる。いずれは仕事に出るだろうし、1日中家の中(玄関土間)では糞の臭いもこもる。

 軒下の犬走(いぬばしり=たたき)の上に移動したら、下がコンクリなので掃除もしやすかろう、雨の心配も少なかろう、仕事に行くようになったら昼間はこの中に入っていてもらおうと、うんしょと運動場を移動。

 移動したものの、ゆるやかな斜面になっているので運動場が前のめりになるようにかしいだ。傾いているほうに下駄を履かせると、隙間が大きくなりすぎて猫が入れるくらいになってしまったので、下駄を取り外し、かしいだままにした。当分は大丈夫だろうと思っていた。

 コンクリの上だと糞の掃除もしやすかろうと思ったが、実際はコロコロウンチ(においが少なく臭くない)なら掃除はしやすいが、チョコウンチ(まるでチョコレートが溶けたように見えるウンチ。強烈にクサい)は掃くと地面にこびりつき、箒にもこびりつく。
 コンクリの上の運動場は下に新聞でも敷かねばならんなということになった。

 枯れ草とかワラを敷いてやった方がいいのだけど、すぐにはない。とりあえず草刈りしようと庭のアヤメの葉を刈り、干した。そのうち乾くから、乾いたら入れてやろう。それまで新聞で我慢してもらおう。

 倒壊寸前

 2日ほどたったら、運動所は近い将来倒壊間違いなしという状態になっている。やはり針金で留めただけの安普請のせいに違いない。斜めのところに置いたせいもある。おまけに屋根にはエアキャップが飛ばないようにレンガや石が乗せてある。

 針金留めだけなら、3隅も簡単にばらせるし(1隅は開閉のために留めていない)、夏になったら涼しい場所に移動してやれるという考えもあったのだけど、こらあかんと屋根をはずしにかかったら囲いの一部の釘が抜け、はずれてしまった。

 金槌を出してきて、外れた部分を打つと、反対側や上や下の釘が外れた。確かに道理ではそういうことになるわな。そう思いつつ、何度か試したけど結果は同じ。こらぜんぜんあかん。釘では話にならん。

 ド素人の不器用モノが、安直思考で作った塀は、寝かして釘を打っていたからこそなんとかなっていたが、立てた状態であっちを打てばこちらが外れるという具合で、懲りずに何度かやってみたけど、ほんま話にならん。

 遅まきながらネジとドライバーを持ち出し、釘穴にネジを差し込みドライバーをまわし始めたが、3箇所ほどで音を上げた。手が痛い痛い、痛い!

 夢に向かって

 この時決意した。電動ドライバーを買う、絶対買う、少しくらい高くても買う。明日買いに行こう。

 ドライバー購入の決意で夢が広がった。最初に考えていた、人間が中に入って立って作業できる2メートルくらいの高さの鶏小屋を作ろう。網も買おう。近所の製材所で木もいただこう。

 こうして明日になり、ホームセンターに行った。コードレスのものはやはり高い。覚悟はしていたものの高い。私にとって大きく腰の引ける金額。 5000円から1万円の範囲で数種あったが手に持つと重い。私の手にはちょっと合わない。

 コード付きのは1780円のセールであった。こちらはほどよく手になじむ。価格もなじむ。延長コードを買っても合計金額はコードレスよりまだ安い。

 ネジもパックで買い、網も買い、心も軽やかに帰路についた。帰りに近所の製材所で2センチ角ほどの木をいただいた。夢に向かって前進。

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