3番目の噺
3番目の噺
烏骨鶏観察
烏骨鶏を見る。じっと見ている。するといろいろな姿を見せてくれる。
片手(羽)を後ろに伸ばし、同じ側の足を後方に伸ばし伸びをしている。小さいと思っていたちいちゃんが首を伸ばすと、首を伸ばしていないはつこやみどりと同じ背の高さになった。鶏の首はよく伸びる。
首はよく伸びてよく曲がる。羽の中をつついて虫そうじなんだろうか?羽を持ち上げ、首をつっこみつついている。足も器用に、犬なら耳かきと呼ぶようなことをする。鶏もあちこち痒いんだろうか?
そういうことをしているかと思うと欠伸もしている。嘴を精一杯広げて、声もださないから欠伸なんだと思う。
両羽を広げて、向かい合う。この時は首も伸ばし、背伸びもしているような感じを受けた。威嚇しあっているんだろうか?わからないけど「仲良うしいや」と声をかけたらやめた。そういうことをするのはオスだけだそうだ。雄3羽やもんね〜。
この時は鈴木さんとはつこ(またはみどり)が見合っていた。
はつことみどりは抱くと違いがわかるのだが、見ているだけではわからない。抱いて暴れるのがはつこ、それよりおとなしいのがみどり。
はつこおいでと抱いてから「あんたみどりやな」ということがよくある。逆も良くある。みどりと思って抱いたら、めちゃくちゃ暴れて腕から飛び出す。これは、はつこ。
烏骨鶏もそれぞれ性格がきっとある。鈴木さんは餌をマイペースで食べる。みんなが食べ終わってもしつこく食べている。その姿は「黙々として」というのが相応しい。
1羽だけ黒いから「みにくいアヒルの子」の心境なんだろうかと考えたりもしたが、なんとなくマイペースの感じ。
小さいゲージに竹の餌箱を2つ置くのだが、最初は一箇所に4羽が集合する。「そっちにもあるんやで」と声をかけて、最初に反応するのはみどりかはつこかのどっちかで、ちいちゃんは果敢に大きい烏骨鶏をかきわけ、竹に乗って食べる。
最初に餌をこぼすのはちいちゃん。こぼれた餌は鈴木さんがみんなが食べ終わった後、黙々と食べてくれる。
足で竹を踏みつけて食べるのはちいちゃん以外のみんな。みんなで餌をこぼしてくれる。これはなんとかしたい。餌箱に糞も落とすので「餌入れ外箱」の構想がわいている。
構想を形にした餌入れ外箱、中には竹の餌入れが入っている
餌を食べた後、口の端についた餌を地面をつついてぬぐおうとしている。口の周りをキレイにしておきたいのか、気持ち悪いのがわかるのか?
水を口に含んだ後はお口ぐちゅぐちゅと口をゆすいでいるように見える。
見ていてあきない。ものすごく平和に時間が過ぎていく。庭に出した椅子に腰かけ、コーヒー片手に烏骨鶏観賞。凛もおとなしく座って見ている。
犬観察
ミニチュアダックス凛太郎は烏骨鶏を追いかけて最初にものすごく怒られたのと、私が怒るのにも怒っているふりにも疲れたので、「洗脳作戦」に変更したのが良かったのか、怒らなくてすむようになってきている。
「賢いな〜凛太郎。鶏さん見ててくれたんか?ありがとう。鶏さん守ってやー」褒めるようにしてから、だんだんと吠える度合いがへって、移動ゲージの傍で伏せ体制をしている。それを見たらまた「賢いな〜。鶏さん守ってくれてるんやな、頼むで」と声をかける。鞭よりも飴。褒めて育てる洗脳作戦成功か?
そうそう一つ事件があった。鶏の運動場に烏骨鶏を入れ、凛は庭に放したままにしていた時、普段はピヨピヨと可愛い声しか出していなかった烏骨鶏が「コッコッコッコッコッコ」と鳴くのが家の中で用事をしていた私の耳に聞こえた。
私は「コケコッコー」と鳴く日も近いのか、と暢気に考えていたが、声はやまない。ますます激しい。何事かと運動場を見にいったら、凛太郎が運動場の隙間に鼻先をつっこみ、烏骨鶏の餌のこぼれたのをものすごい勢いで舐めて食べていたのだ。
烏骨鶏は「餌泥棒凛太郎」に怒って鳴いていたのだった。
そうか、凛があれほどしつこく吠えていたのは烏骨鶏の餌が欲しいということもあったのかと、試しにやってみたら美味しそうに食べ、もっとくれという雰囲気。
永井口農園さんで分けてもらっている餌は遺伝子組み換えでないものばかり使っておられ、海草も入ってる。永井口さんの卵はものすごく美味しい。白身にほのかな甘さを感じる。話がそれた^^;。
餌には魚粉も入っている。その魚粉の匂いに凛太郎は反応していたのかもしれない。糠もトウモロコシの細かく砕かれた粒もみんなきれいに食べる。犬に鶏の餌をやってもいいのだろうかと思いつつ、永井口農園さんの餌だからいいだろうと。
その日から凛太郎のワンご飯には「鶏さんのお肉と烏骨鶏さんの餌」がトッピングされるようになり、吠え方が少なくなったのは洗脳のせいではなく「烏骨鶏さんの餌」が貰えるようになったからかもしれない。